概要  
 

TeXとLaTeX2e

TeXは組版ソフトです。「TeX」は「テック」とか「テフ」と読みます。フリーソフトです。

TeXは、テキストで書かれた文章ファイルをコンパイルし、印刷や表示が可能なファイル(dvi)を生成します。

今回は、TeXを拡張したLaTeX2e(「ラテック」とか「ラテフ」と読む)を使用します。

 

 
特徴  
 

LaTeXの特徴

  1. 本のような印刷出力が得られます。 (元々、本の版下出力を目的としていた。)
  2. 一般的なワープロとは違い、テキストで入力でき、慣れたテキストエディタを使うことができます。
  3. 文章の構造化がしっかりできます。
  4. 数式が簡単(?)できれいにでます。
  5. 自動的に、章節番号・数式番号・図表番号・参照番号をつけることができます。
  6. 自動的に、目次、図目次、表目次を作成できます。
  7. マクロプログラムで効率化できます。
  8. 文章を分割管理・合成できます。
  9. スタイルと文章を分割でき、ページ数の多い本などでもすぐにスタイル変更できます。

開発者

 クヌース先生 (数学・コンピュータサイエンス)

 

 
薦める点  
 

なぜワープロ(Word)ではなくTexなのか。

  1. 文章を書く場合は、レイアウトを見ながら入力する場合もありますが、ほとんどの場合は、文章を書くことに専念したいはずです。 レイアウトを気にせず(後回しにして)、使いやすい慣れたエディタを使って書くことができます。
  2. TeXでは「改行」は意味を持たないため、「改行」の位置を気にすることなく入力できます。また、印刷されないコメントを文章中に入れることができ、文章の構成がしやすいことがあげられます。
  3. 章節番号などが自動的につけられるので、文章を考えるときに番号(特に図表番号)を気にする必要がありません。章や節の順序を入れ替えなどの構成の変更も簡単にできます。また、章節の目次も自動で生成できます。
  4. Wysiwyg (What You See Is What You Get, ウィジウィグ)を必要としない人やプログラマ向けです。(?)

 

 
インストール  
 

TeX(LaTeX)、Ghostscript、dviout、WinShell などをインストールします。

・Linuxの場合は、標準でインストールされています。(特にインストールする必要はありません。)
・Cygwinの場合は、現在、日本語に対応していませんので、Windows版をインストールしてください。

ここでは、Windows版で説明します。

ファイルは圧縮状態で約100MByteあります。展開後は約300MByte必要です。
ダウンロードやファイル展開には時間がかかります。必ず指示に従ってください。
・展開ディレクトリを変更した場合は、自己責任において設定を修正してください。
・動作しない場合は、展開ディレクトリが違ったり、設定のミスがほとんどです。
・ファイルの拡張子を表示して作業してください。

以下の順序でインストールを行います。

  1. LaTeX2eのインストール
  2. GhostScriptのインストール
  3. 環境変数の設定
  4. dvioutのインストール
  5. WinShellのインストール
  6. WinShellのアップデート/日本語化パッチ

次に動作チェックを行います。

  1. 作業フォルダを作る
  2. LaTeX動作チェック

その他

  1. jsclassesのインストールについて
  2. 後始末について
  3. アンインストールについて

おまけ

  1. GohostView
  2. Jpegの図について

 

 
LaTeX2e  
 

LaTeX2eをインストールします。

必要なファイル:usr.exe (約100MB,自己展開圧縮ファイル)

・本来はいくつかのアーカイブファイルをダウンロードし、インストーラ(texinst752.exe)を使ってファイルを展開します。
・今回は、1度展開し、調整済のアーカイブファイルを使います。
・ライセンスについては、展開後、C:¥usr¥local¥LICENSE を読んでください。

・新しいバージョンもありますので、最新が良い場合はそちらを(自己責任で)インストールしてください。

usr.exe」を実行(ダブルクリック)します。

展開ディレクトリが「C:¥usr」となっているか確認し、「OK」をクリックします。

ファイルが展開され、C:¥usr ディレクトリが作成されます。

この中にディレクトリlocalが入っていることを確認してください。

(注)展開ディレクトリを間違えた場合は、フォルダを移動してください。

 

 
Ghost script  
 

Ghostscriptをインストールします。

必要なファイル:gs707w32full.exe (7016KB,自己展開圧縮ファイル)

・新しいバージョンもありますので、最新が良い場合はそちらを(自己責任で)インストールしてください。

gs707w32full.exe」を実行します。

展開するディレクトリ「C:¥temp」を確認して、「OK」をクリックします。

C:¥tempディレクトリの「setupgs.exe」を実行します。

「Install」をクリックします。

C:¥gsディレクトリが作成されます。

 

・インストールできないバグ?について

症状:ユーザ名に全角文字を使用して、「ユーザー環境変数」の「TEMP」および「TMP」に全角文字を含む場合は、インストールが失敗します。

原因:Ghostscriptが英語圏で開発され、2バイトの全角文字コードを正しく扱えないのが原因です。

対処:「ユーザー環境変数」の「TEMP」および「TMP」が他のソフトウェアに影響がない場合は「削除」をしてください。わからない場合は、メモをしてから削除してください。

 

 
環境変数の設定  
 

LaTeX2eの環境変数の設定を行います。(WindowsXP)

「マイコンピュータ」で右クリックし、「プロパティ」を選択します。

「詳細設定」をクリックします。「環境変数」をクリックします。

「新規」で新しい設定を追加します。

次の2つの環境変数を設定します。

変数名
変数値
TEXMFMAIN C:/usr/local/share/texmf
TEXMFCNF C:/usr/local/share/texmf/web2c

「Path」を選択し、 「編集」をクリックします。

現在の変数値に次の変数値を追加します。

変数名
今までのPATH変数値に追加する部分

Path

;C:¥usr¥local¥bin;C:¥gs¥gs7.07¥bin;C:¥gs¥gs7.07¥lib

「OK」をクリックします。

「システムのプロパティ」ダイアログの「OK」をクリックします。

 

 
dviout  
 

dvioutをインストールします。

必要なファイル:tex315w.exe (2170KB,自己展開圧縮ファイル)

・新しいバージョンもありますので、最新が良い場合はそちらを(自己責任で)インストールしてください。

「tex315w.exe」を実行します。

インストールするディレクトリ「C:¥dviout」を確認して、「OK」をクリックします。

インストールが終了すると dviout が起動しますので、設定をします。

(起動しない場合は、C:¥dvioutフォルダの中の dviout.exe を実行します。)

フォント解像度を設定します。プリンタがインストールされていれば、その解像度を使用します。

ない場合はとりあえず300dpiにします。

「NEXT」ボタンをクリックします。

フォントディレクトリを設定します。(デフォルトでも動作します。)「NEXT」ボタンをクリックします。

実行スクリプトを設定します。ここで、自動設定「gen:」ボタンをクリックします。

「Automatic search? 」に対して、「はい」をクリックします。

設定されたら、もう一つの設定、「gsx:」ボタンをクリックします。

「Automatic search? 」に対して、「はい」をクリックします。

設定されたら、「Finish」ボタンをクリックします。

これでスタートメニューに登録され、設定は終了です。

起動画面が表示されます。

動作確認のためにサンプルファイルを開きます。

メニューバーの「File」「Open」を選択します。

C:¥dvioutディレクトリの中の適当なdviファイル(test_a4.dviなど)を開きます。

dviファイルが表示されます。

 

 
WinShell  
 

WinShellをインストールします。

・他のエディタでも良いので必要に応じてインストールしてください。
・新しいバージョンもありますので、最新が良い場合はそちらを(自己責任で)インストールしてください。

必要なファイル:WinShell221.exe (1574KB,自己展開圧縮ファイル)

自己責任でどうぞ:WinShell25.exe (2323KB,自己展開圧縮ファイル,日本語パッチはありません。)

「WinShell221.exe」を起動します。

インストーラが起動しますので、質問に答えてインストールします。

問題なく終了したら、プログラムが起動します。

(または、ディスクトップにできたアイコンをクリックします。)

初回起動時に使用言語を聞いてきますので、とりあえず「English」にして「OK」をクリックします。

メニューバーの.「File」「Exit」で終了させます。

 

 
WinShellのアップデートと日本語化  
 

WinShellのアップデート(2.2.2beta版)と日本語化パッチを行います。

WinShellを起動している場合、いったん終了します。

必要なファイル1:WS222beta.exe (947KB,自己展開圧縮ファイル)

必要なファイル2:JapaneseVersionForWinShell222beta20030415.exe (62KB,自己展開圧縮ファイル)

エクスプローラで、ダウンロードディレクトリを開きます。

WS222beta.exe」を実行します。

展開するディレクトリ「C:¥temp¥ws」を確認して、「OK」をクリックします。

次に、「JapaneseVersionForWinShell222beta20030415.zip」を実行します。

展開するディレクトリ「C:¥temp¥ws」を確認して、「OK」をクリックします。

エクスプローラで C:¥temp¥ws に展開されたファイルを全選択して、右クリックで「コピー」を選択します。

C:¥Program Files¥WinShell のディレクトリを開いて、右クリックで「貼り付け」を選択します。

(つまり C:¥temp¥ws に展開された全ファイルを C:¥Program Files¥WinShell のディレクトリにコピーします。)

同じファイル名が存在しますので、「すべて上書き」をクリックします。

これでコピーが完了しました。

WinShellを起動します。

「Choose Language」で「English」を選択して、「OK」をクリックします。

バージョンが上がっていることを確認します。

メニューバーの「Option」「Language」を選択します。

「User default language」を選択して、「OK」をクリックします。

メニューが日本語になったことを確認してください。

 

 
WinShellの設定  
 

WinShellに日本語TeXプログラムの設定をします。

プログラム 初期値 日本語
LaTex latex platex
BibTeX bibtex jbibtex
DVIWin C:¥dviout¥dviout.exe
DVI->PS dvips dvipsk

メニューバーの「オプション」「主なTeXプログラムの設定」を選択します。

オプションウインドウが表示され、「主なTeXプログラムの設定」になります。

「プログラム」の「LaTeX」を選択し、「exeファイル名」を「latex」→「platex」に変更します。

「プログラム」の「BibTeX」を選択し、「exeファイル名」を「bibtex」→「jbibtex」に変更します。

「プログラム」の「DVIWin」を選択し、「exeファイル名」が「C:¥dviout¥dviout.exe」になっていることを確認します。

「プログラム」の「DVI->PS」を選択し、「exeファイル名」を「dvips」→「dvipsk」に変更します。

「OK」をクリックします。

以上で、日本語TeXプログラムが設定されます。

 

 
フォントの設定  
 

日本語フォントの設定をします。

メニューバーの「オプション」「フォント」を選択します。

オプションウインドウが表示され、「フォントの設定」になります。

現在のフォントの「変更」をクリックします。

日本語フォントを選択します。

フォントセット:「MSゴシック」、スタイル「標準」、サイズ「16」などを選択し、

文字セットを「日本語」(図は違っていますが。)にして、「OK」をクリックします。

現在のフォントが変更されたか確認をし、「OK」をクリックします。

以上で、日本語フォントが設定されます。

・「強調表示」は、色によっては見づらくなったり、処理が重くなる場合があります。この場合はOFFにします。

 

 
作業フォルダ  
 

作業フォルダは特に指定しませんが、マイドキュメントにTeX専用のフォルダ ¥tex を作ります。

ここにTeXファイルを保存します。

 

 
使い方(Windows)  
 

WinShellを起動します。

新規作成で、エディタを開き、TeX文章を入力します。

(TeXのコマンドは半角アルファベットを使います。)

次の文書を入力します。

 

¥documentclass{jarticle}
¥begin{document}

ここに文章を書きます。

TeXは、テキストエディタで入力できます。

¥end{document}

 

メニューバーの「ファイル」「別名で保存」を選択します。

保存する場所は特に指定しませんが、あらかじめ作った作業フォルダ(tex)にします。

ファイル名は「test.tex」で保存します。 (TeXファイルの拡張子は、".tex"を使います。)

WinShellのメニューの「LaTeX」ボタンをクリックします。

もし、一番下のウインドウに「No pages of output ・・・・」が表示されたらエラーですので、もう一度見直します。

WinShellのメニューの「dviout」ボタンをクリックします。(初回だけ。)

texから出力された dvi ファイルが表示されます。

dvioutのウインドウは閉じずに、WinShellのウインドウの枠をクリックして戻ります。

以降、texファイルを修正したら、「LaTeX」ボタンをクリックすれば、自動的にdvioutの画面が更新されます。

 

 
使い方(Linux)  
 

Linuxでは、bashのコマンドラインからTeXを実行します。

ここでは、TeXのファイルを sample.tex で保存したものとし、コンパイルをします。

コンパイルにより、TeXは、dviファイルを生成します。

%はコマンドプロンプトです。


% platex sample.tex

エラーが出なければ、できたdviファイルをプレビューします。

エラーが出た場合は、行番号や位置が表示されますので、xキーで停止させ、エディタでその付近でエラーの箇所を探し、修正します。これがなかなか大変ですが。)


% xdvi sample.dvi

次からは、各項目のTeXファイルを入力したら、コンパイルを実行して、dviファイルをプレビューして確認してください。

 

 
jsclasses  
  jsclasses(奥村晴彦さん開発)のインストールをします。

(usr.exeにはインストール済みです。)

必要なファイル:jsclasses-031124.zip (93KB)

LaTeXの新しいクラス jsarticle、jsbook を使用できるようにします。

1.圧縮ファイルを展開します。

2.フォルダ C:¥usr¥local¥shear¥texmf¥ptex¥platex¥js¥ を作成し、そこに全てのファイルをコピーします。

 

 
後始末について  
 

不必要な圧縮ファイルやインストールに使用された一時ファイルを消去します。

消去しても良いファイルは、

1.プログラムのダウンロード先のフォルダと圧縮ファイル

2.C:¥temp の中の一時ファイル

です。

 

 
アンインストール  
 

プログラムが不要になった場合のアンインストールは、次の項目を行います。

1.「コントロールパネル」「プログラムの追加と削除」。

 GNU Ghostscript Font
 GNU Ghostscript gs707
 WinShell 2.2.1

2.環境変数のTEXMFMAINとTEXMF、Pathの追加部分の削除。

3.プログラムのフォルダとファイルの削除。

 C:¥usr
 C:¥gs
 C:¥dviout

4.アイコンやショートカットなどの削除。

 

 
おまけ1 GhostView  
 

GhostViewをインストールします。

(必ずしも必要ではないので、入れなくても良い。)

必要なファイル:gsv45w32.exe (1554KB)

1.実行するとインストーラが起動します。

2.指示に従ってインストールします。

 

 
おまけ2 Jpeg  
 

Jpegをdvioutで使えるようにします。

(必ずしも必要ではないので、入れなくても良い。)

図として、jpegファイルが使えるように、新たにプログラムをインストールします。

必要なファイル: ifjpeg029.exe (45KB)

susieのプラグインifjpeg029.exeを実行します。

展開先ディレクトリ C:¥dviout¥SPI を確認して、「OK」をクリックします。

SPIをdvioutに設定します。

C:¥dviout ディレクトリの dviout.exe を実行します。

メニューバーの「Option」「Setup Parameters...」を選択します。

DVIOUTのプロパティで「Graphic」をクリックします。

「spi:」に「C:¥dviout¥SPU」を入力し、「Save」をクリックします。

「OK」をクリックします。

dvioutの設定をTeXにコピーします。

コピー元 コピー先
C:¥dviout¥GRAPHIC¥LATEX2E¥color.cfg C:¥usr¥local¥share¥texmf¥tex¥latex¥config¥color.cfg
C:¥dviout¥GRAPHIC¥LATEX2E¥graphics.cfg C:¥usr¥local¥share¥texmf¥tex¥latex¥config¥graphics.cfg
C:¥dviout¥GRAPHIC¥LATEX2E¥dviout.def C:¥usr¥local¥share¥texmf¥tex¥latex¥graphics¥dviout.def

C:¥dviout¥GRAPHIC¥LATEX2E ディレクトリを開きます。

color.cfg と graphics.cfg を選択し、右クリックで「コピー」を選択します。

C:¥usr¥local¥share¥texmf¥tex¥latex¥config ディレクトリを開きます。

(元のcolor.cfgとgrahics.cfgをとっておきたい場合は、別名にします。)

ここで、右クリックし、「貼り付け」を選択します。

C:¥dviout¥GRAPHIC¥LATEX2E ディレクトリを開きます。

dviout.def を選択し、右クリックで、「コピー」を選択します。

C:¥usr¥local¥share¥texmf¥tex¥latex¥graphics ディレクトリを開きます。

右クリックで、「貼り付け」を選択します。

以上で、インストールが完了します。

WinShellを起動して確認します。

usepackageの設定が変わります。

 

¥documentclass{jarticle}

¥usepackage{graphicx}

¥begin{document}

¥begin{center}

¥includegraphics[width=5cm,clip]{sample.jpg}

¥end{center}

¥end{document}

 

TeXに貼るjpegファイルをsample.jpgとします。(ファイル名は読み替えてください。)

LaTeXを実行します。

DVIWinを実行します。

sample.jpgが表示されれば正常です。

 

 
参考  
 

書籍 「LaTeX2e美文書作成入門」 (奥村晴彦 著)

URL http://oku.edu.mie-u.ac.jp/%7Eokumura/texfaq/bibun3/

URL http://oku.edu.mie-u.ac.jp/%7Eokumura/texfaq/install-win32.html

書籍 「LaTeX2eトータルガイド」 (伊藤和人 著)(秀和システム)

URL http://akagi.ms.u-tokyo.ac.jp/tex_dvioutw.html

 

 
アンケート  
 

 

 
課題  
 

講義で指示します。

 

   
  (C)2001-2004 Takashi Kohama, TDU/SIE